近年、ソフトウェア開発の現場では生成 AI の活用が急速に広まっている中、IBMは自社が提供するサーバーに特化した生成AIツールとして、2026年4月から「IBM Bob」のサービス提供を開始しました。
私たちの会社では、1990年代からIBM i上の基幹システムの開発を行っており、IBM Bobのサービス発表から提供開始まで大きな期待を持って待っていました。
更に、IBM Bobには「Premium Package」というオプション機能があります。SSH接続が出来る環境であれば、AIが直接サーバー内のソースやオブジェクトを見て、分析やソース編集、オブジェクトの生成までサポートしてくれるため、他の生成AIと差別化して利用できると考えました。
私は2026年8月から、IBM Bob、Premium Packageを本格的に導入しました。
本記事では、その経緯と導入後の変化、そして IBM Bob ならではのメリットについて、体験ベースでお伝えします。
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IBM Bob とは何か——まず簡単に整理します
IBM Bob は、IBM が提供するエージェンティック AI 開発支援パートナーです。一般的なコード補完ツールとは異なり、ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)全体を対象とした支援を行います。
具体的には、自然言語での指示に基づいてファイルを読み書きし、コマンドを実行し、複数ファイルにまたがる変更を自律的に完結させます。ChatGPT や GitHub Copilot が「次の行を予測する」ツールだとすれば、IBM Bob は「要件から実装まで伴走するパートナー」に近い存在です。
Premium Package とはどういうものか
IBM Bob の Premium Package は、基本プランに追加できるオプション機能です。
IBM iへのネイティブ接続機能のほか、IBM iに特化したワークフロー、Skills、スラッシュコマンド、各種ツールを利用できて、またIBM iのドキュメントを利用したRAGを備えており、IBM i開発チーム向けに最適化されたAI開発支援パートナーとして利用できるオプションとなっております。
私個人としては、ソースやオブジェクト、システムの環境全体を解析するにあたって、ネイティブ接続機能は必須要件なのではないかと考えています。
使ってみてわかった、IBM Bob ならではの 2 つのメリット
① IBM i 環境への特化——「RPG がわかる AI」のリアル
世の中の多くの生成 AI は、RPG(Report Program Generator)をほとんど知りません。また、知っていたところで、癖のある固定形式の読み込みや分析はうまくいかず、開発プロンプトで説明しても、出力されるコードは明らかに現代の言語の発想で書かれており、IBM i 特有の仕様を無視したものになりがちです。
IBM Bob の IBM i Developer モードは違います。フリーフォーマット RPG の生成はもちろん、固定形式から自由形式への変換(RPG モダナイゼーション)、RPGUnit を使ったテストコードの自動生成、さらにはビジネスルールの抽出まで、ワークフローとして一連の流れが整備されています。
たとえば、30 年前の固定形式 RPG コードを渡して「このコードが何をやっているか教えて」と言えば、業務ロジックをドキュメント化してくれます。「フリーフォーマットに変換して」と続ければ、そのまま変換コードを生成してくれます。これはIBM i 開発者にとって、これまで使ってきたどのツールとも異なる体験でした。
●RPG・CL・SQL・COBOL に対応した専用モード
●固定形式 → フリーフォーマット変換ワークフロー(RPG Modernization)
●RPGUnit テストプランの自動生成・実装
●業務ロジック・ビジネスルールの抽出レポート生成
② エージェンティック動作——「やってみて」が通じる
IBM Bob の最大の特徴のひとつが、アジェンティックな動作です。単純に「コードを書いて」という依頼だけでなく、「この機能を追加して、テストして、ドキュメントも更新して」という複数ステップにまたがる指示を一度に処理できます。
内部では、Plan モード(設計・計画)と Code モード(実装)を使い分けながら、複数のファイルを横断して自律的に変更を行います。変更前には必ず確認(Approval ワークフロー)を求めてくれるため、「いつの間にかコードが変わっていた」という不安もありません。
IBM iの開発をする場合に関しては、「どの AI を使えばいいのか?」という問いに対して、現時点ではIBM Bob を利用するのが正解だと感じています。
MCP・スキル・カスタムモード——拡張性という武器
IBM Bob が他の AI ツールと一線を画すもう一つの特徴が、拡張性の高さです。
MCP(Model Context Protocol)と呼ばれる仕組みを使うと、IBM Bob を外部ツールやデータベース、API と接続できます。たとえばデータベースクライアントやクラウドプラットフォームのツールを MCP サーバーとして接続し、IBM Bob からシームレスに操作することが可能になります。
また「スキル(Skills)」という機能では、チーム固有の規約やワークフローを命令セットとして定義し、IBM Bob に覚えさせることができます。コードレビューの観点、ドキュメントフォーマット、デプロイ手順など、チームが「毎回 AI に説明するのが面倒なこと」を一度スキルとして登録すれば、以降は自動的に適用されます。
●MCP による外部ツール・API・DB との接続
●スキルによるチーム固有ルールの登録・再利用
●カスタムモードによる用途特化アシスタントの構築
現時点では一部のメンバーがこれらの拡張機能を使っていますが、チーム全体への展開を進めているところです。
このシリーズで発信していくこと
本記事では IBM Bob Premium Package に関する情報発信でしたが、今後はIBM Bobを活用したお役立ち情報を随時発信していく予定です:
●IBM i モードの詳細な使い方と実際のアウトプット例
●RPG モダナイゼーションワークフローの実践レポート
●MCP・スキルの活用事例とチーム展開のポイント
●生成 AI 活用による工数削減効果
「IBM i 開発に AI なんて関係ない」と思っていた方にこそ、ぜひ読んでほしいシリーズです。現場のリアルな情報をお届けしていきます。
次回は、IBM Bob の IBM i Developer モードを実際に使った具体的な RPG コードの改修例をご紹介します。
引用:IBM Bob Premium Package for iの発表:IBM iアプリケーションの開発とモダナイゼーションを加速
https://www.ibm.com/jp-ja/new/announcements/introducing-the-ibm-bob-premium-package-for-i
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